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ミステリの祭典

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教場0
教場シリーズ

作家 長岡弘樹
出版日2017年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2020/05/16 11:33登録)
個人的な予想に反して人気を博している(多分)「教場」シリーズ。
今年の正月には、まさかの風間公親=木村拓哉で地上波ドラマ化! そして今回はエピソード0(ゼロ)ともいえる連作短編集。2017年の発表。

①「仮面の軌跡」=変わった名前だなぁーって気付いた人は「鋭い!」。タクシーに指示するくだりで何となくピンときたんだけど、まさかビンゴとは。でもこんな場所で殺すかねぇ・・・。
②「三枚の画廊の絵」=妻と別れ、親権を失った息子に対する思い。それがついに・・・というのは分かるが、まさかバラバラ殺人にまで発展するとは! これも①と同様かなり短絡的では?
③「ブロンズの墓穴」=アリバイトリックの色彩が強い作品。アリバイといえば一番よくあるのは場所の錯誤を使ったトリックだろうけど、新人刑事はそこになかなか行き着かない。ラストはまずまず。
④「第四の終章」=首吊り自殺の演技を練習していた男が、そのまま縊死してしまう。そばにはガールフレンドと隣人。当然どちらかに疑いの目は向くが・・・。これもかなりリスクを伴うトリック、っていうか上手くいくかなぁ・・・
⑤「指輪のレクイエム」=いわゆる“操り殺人”ならぬ“操り自殺”がテーマとなる。物証もない完全犯罪を成し遂げたと思った刹那・・・。殺された妻の思いを夫は知ることに。そして、終幕。
⑥「毒のある骸」=これもやや安易な犯罪のように思える。被害者が死ぬ間際に動いた謎は最初から察しがついた。ところでこの「毒」については“解剖あるある”なんだろうか?

以上6編。
これまでは警察学校を舞台として、風間と教習生たちの関りを通じてのストーリーだったが、本作は「エピソード0(ゼロ)」。つまり、それ以前、新人刑事がベテラン刑事の風間にOJTされる・・・
こんな厳しく得体のしれない人物からのOJTなんて・・・嫌だなぁ!

それはともかく、6編の殆どが「倒叙」形式の作品。で、風間は最初から真相を察しており、新人刑事の教育と称して、実に分かりにくいヒントをさりげなく出すというパターン。
うーん。そんなに悪くないとは思うんだけど、それほど響く作品もなかった印象。
それと、最終編の終盤に唐突に訪れたある事件。これが、風間の警察官人生に大きな影響を与えることになるんだな・・・。まさにエピソード・ゼロだ。

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