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ミステリの祭典

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ミステリ散歩
各務三郎

作家 評論・エッセイ
出版日1973年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 クリスティ再読
(2020/04/29 15:51登録)
各務三郎って評者かなり影響受けてる、と思う....いろいろ雑食にミステリを愉しむ、というスタイルだしね。この本はポケミスなんかに書いた各務三郎(というか、太田博署名とか)の解説やいろいろ雑文を集めたもの。軽妙に書いてあって、読書意欲をそそるように書けているのが何より。名作は「ある奇妙な死」とか「汚辱と怒り」とか、あるいはスパイ小説を「現代版恐怖小説」と断じた「スパイ小説は私生児」などだろう。いわゆる「奇妙な味」を扱った作品を重視しているあたり、各務氏らしい。

また、ミステリは、<論理の小説>と書かれており、また一般に信じられているようです。しかし、それはパズル・ストーリーだけにあてはまることで、さらにいえば<推論の非現実的なおもしろさを楽しむ小説>でしょう。そしてさらに、<魅力的な謎を生みだす感覚>を重要視しないかぎり、ちまちました作品しかできないよ(後略)

まさにそのとおり。フィージビリティとかね、悪い風潮だと評者は思うんだ。そういや評者が「本格」というタームを避け気味なのは、各務氏の影響だと思うよ。各務氏あたりが「黄色い部屋はいかに改装されたか」と並ぶ、ミステリの70年代モダンの先端だったようにも思うんだ。

あとねえ、評者実は各務氏と同郷なんだ。この本でも2か所ばかり正信偈とか蓮如の白骨のお文とか出てくるけど、西三河は真宗王国でね、評者なんて「三河人らしい...」なんてつくづく感じる。まあそういう意味でも各務氏には「先輩!」なんて親しみを感じているよ。

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