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ミステリの祭典

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鬼畜 松本清張映画化作品集2
双葉文庫

作家 松本清張
出版日2008年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2020/04/25 18:54登録)
双葉文庫版の清張短編集。映画化作品を集めたらしい。
目次を見たら、新潮文庫の短編集「黒い画集」「張込み」「共犯者」からピックアップした寄せ集め集だった。
『潜在光景』『共犯者』は「共犯者」に所収。
『顔』『鬼畜』は「張込み」に所収。
『寒流』は「黒い画集」に所収。
『潜在光景』『共犯者』は未読だった。『寒流』は内容を覚えていなかったので再読。『顔』『鬼畜』は記憶がしっかりと残っているので再読せず。

潜在光景・・・最後のオチは、タイトルや途中の回想で想像できそう。でもページを繰る手は止まらなかった。
顔・・・なんでそんな行動をとるの、とハラハラドキドキ。なぜか主人公の肩を持ってしまう。それだけ夢中になれる作品。
鬼畜・・・おそろしいとしか言いようがない。ふつうの小市民なんだけどなぁ。貧しさゆえか?
寒流・・・気の毒すぎる。なんでそこまで主人公をいじめるの、清張さん。最後の一発逆転はあるのか?
共犯者・・・犯罪者は繊細さが必要だが、すぎるのはダメ。もっと堂々としてなきゃ。それと、そもそも共犯は絶対ダメ。馬鹿げてはいるけどおもしろい。

本短編集にかぎらず、多くの清張短編の根底には、人の心の奥底に潜む欲望や悪意がある。
小市民だろうが善人だろうが、清張にかかればみな、狡くて気が小さいコメディリリーフ(それでいて主人公)を演じさせられる。
さらに本短編集作品の主人公たちは、悲惨な末路が待ち受けている。

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