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ミステリの祭典

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世界ショートショート傑作選1
各務三郎編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1978年11月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2020/04/19 20:00登録)
(ネタバレなし)
 1978~1980年にかけて、講談社文庫から刊行された全三巻の翻訳ショート・ショートのアンソロジー。 ミステリマガジン編集長を退陣して光文社の「EQ」(1978年創刊)の顧問についたばかりの各務三郎の編集による。
 大昔に購入したような気もするが、一年ほど前に出先のブックオフ1巻のみ100円均一の棚で購入したので、ずっとちびちび読んでいた。
 この1巻は1978年11月15日の初版。

 1巻を(あらためて)読む限り、全44編を収録した内容はクライム&ミステリ、怪奇&幻想、コントの三部で構成。ほとんどの作品が日本語版EQMM、ミステリマガジン、旧「奇想天外」のどこかで読んだ覚えがある。たぶん本書のための新訳は一本もない?

 ミステリマガジンオールタイム(日本版EQMM時代ふくむ)の中でも、第四代目編集長・太田博(つまり各務三郎)の時期がいちばん独特の個性と充実感があったという世代人は多い? が、その時期によく掲載されたショートショートの名作群も、たとえばニールの『風のなかのジェレミイ』あたりを筆頭に多数すくい上げられ、読み応えでは申し分ない(ここに入ってない当時の気になる作品は、たぶん2~3巻に入ってるのだろう)。

 とはいえ読んでいくと、始終頭をよぎるのは、古書店で買い集めたミステリマガジンのバックナンバーや、旧「奇想天外」の誌上で初読時にふれたそれぞれに印象的な挿し絵のイメージ。
 原体験世代としてはこれらのショートショートの名作群も、それぞれの挿し絵イラストとセットになってこそのマスターピースだったんだよなあ、という贅沢な思いも拭えなかったりする。いやまあ無いものねだりは百も承知ですが(笑)。

 でもってこういうジジイの鬱屈がどこに向かうのかって? そりゃもう、現行のダメダメな、21世紀のミステリマガジンへの憤懣以外にないでしょう(苦笑・怒・涙)。まあいろんな事情は見えるんだけどね。 

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