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ミステリの祭典

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UFOはもう来ない

作家 山本弘
出版日2012年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2020/04/14 22:15登録)
地球を監視する知的生命体・スターファインダー。彼らは“最終シークエンス”を発動しようとしていたが、最高権限者ペイルブルーが京都の山中に不時着し、小学生三人組に発見されてしまう。少年たちの通報を受け、“トンデモ”番組のディレクター・大迫と美人UFO研究家・千里は現地に向かうが、異星人の存在を知った新興宗教団体の教祖は、ペイルブルーの拉致を企み…。スリルと感動のエンターテインメント小説!
『BOOK』データベースより。

堂々とした本格SF大作であり、大衆娯楽作品でもあります。タイトルから想像するような、紛い物とか色物では決してありません。適度なユーモアと適度な蘊蓄、やや専門用語が難解な面もありますが、大筋としてのストーリーは単純です。それだけに人物造形や細かなディテールがよく描きこまれており、長尺だけのことはあります。しかし冗長さは微塵も感じません。全く矛盾するところがなく、全てが腑に落ちる辺りも高評価に繋がります。

意外なことに感情移入するのは異星人であり、捕らわれた身の上を憐れに感じたり、その心細さに思いを致したりするのは私だけでしょうか。
最終章では結構なカルチャーショックを受けました。文明、先進科学の格差や異星の文化慣例の違いや溝は埋めがたいものがあるのだと実感しました。
面白いだけではなく、様々な面で感銘を受け、印象深い一冊になりました。
アクの強い新興宗教の教祖のキャラもなかなか良い味を出していたと思います。

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