猟奇王 漫画 |
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作家 | 川崎ゆきお |
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出版日 | 不明 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 7点 | クリスティ再読 | |
(2020/04/04 17:05登録) 二十面相ついでに読みたくなってねえ、評者も猟奇の徒だね。 心の中に怪人二十面相が生き残ったまま大人になった元子供たちの物語である。社会人がロマンを求めてたら、たちまち食べるに困る。これが世知辛く散文的な現実。心の片隅に生き延びた怪人二十面相の末裔、黒マスクの怪人猟奇王は、普段は机に突っ伏して「ダメな怪人」である自分自身に屈託しつつも、それでもあわよくばの劇場犯罪の機会を狙って「走る!」 この猟奇王のアドリブの「走り」に呼応して、「社会人」たちの抑えきれない想いからも、さまざまなバケモノたちが蠢動しだす...「走れ!猟奇王!」 ...猟奇王などフィクションです。現実社会に存在しないものは、問題になどできぬ... 猟奇気球はその後も上空を漂い、それを追いかける群集はどこまでも続き数百万人にものぼります。群集はさらに増え続け、市街は運動会のようなさわぎで、このままでは完全なパニックとなり、都市の機能は完全にマヒ状態に陥るでしょう 猟奇王、君が存在するかぎり社会人を狂わすことになる。やはりほんとうに抹殺しなければならんだろう... 評者も大学生時代にシューショクカツドーなどという恐ろしいものをしたときに、ガロ系漫画とかニューウェーブとか乱歩やら虫太郎やらタルコフスキーやら何やら封印して臨んだものだったな。確かにこんなの読んでたら、シューショクできないや。それでも余計なものを抱え込んだ少数派は、やむにやまれぬ思いで社会人の仮面をかぶることになる。 まあそういう感傷。自意識過剰というものでもあるんだけどね。 もちろん作品的価値としては、怪人二十面相というアイコンをそういうマイナーでオタクな青春に重ねたあたりで不滅の価値があると思う。本サイトを楽しむ皆さまの心の片隅にも、きっと猟奇王が住んでいるよ。 |