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ミステリの祭典

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実験小説 ぬ

作家 浅暮三文
出版日2005年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/03/29 22:26登録)
交通標識で見慣れたあの男の秘められた、そして恐ろしい私生活とは?(「帽子の男」)。東京の荻窪にラーメンを食べに出かけた哲人プラトンを待っていた悲劇(「箴言」)。本の世界に迷い込み、生け贄となったあなたを襲う恐怖(「カヴス・カヴス」)。奇想天外、空前絶後の企みに満ちた作品の数々。読む者を目も眩む異世界へと引きずり込む、魔術的傑作27編。
『BOOK』データベースより。

第一章が実験短編集と銘打たれた10短編、第二章が異色掌編集でショートショート17編。
冒頭の『帽子の男』を読んだ時、これは素晴らしいと感じました。身体に衝撃が走ると同時に大笑いしました。各1ページごとに一つの交通標識を載せ、それを元にストーリーを組み立てていくという、奇想天外な小説に仕上がっています。これに似た構成の『線によるハムレット』も高評価。
しかし、実験小説という割りには前衛的なものは少なく、既成の作品を参考にしたものやどこが実験なの?といった至って普通の小説も含まれています。海外でも評判が良いらしい『カヴス・カヴス』はちょっと訳が分かりませんでした。

異色のショートショートは取り立てて特筆すべきものもなく、暇つぶしには丁度良い感じの作品ばかりで、すぐに忘れてしまっても大丈夫です。
全体的に読みやすかったのと、たまに現れる新鮮な企みを持った作品が幾つかあったのでこの点数にしました。人によっては凡作と感じる方も多いかもしれません。

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