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ミステリの祭典

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ドリームダスト・モンスターズ
山江壱&石川晶水

作家 櫛木理宇
出版日2014年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2020/03/22 20:20登録)
(ネタバレなし)
 抜群のスタイルと長身が印象的な、美少女高校生の石川晶水(あきみ)。父子家庭で一人娘の彼女は、怪異な悪夢に悩まされていた。そんな晶水に、お調子者の学友の男子・山江壱(いち)が接近。なぜか晶水の秘めた苦境を察した壱は、自分の祖母に一度会うように声を掛けた。こうして晶水は、壱の祖母で人の夢の世界に入ることのできる「夢見」の老婆・千代と対面するが。

 オカルト的な世界観を背景に、人間の悪意や狂気、人の心同士のすれ違いから生じる相克などの謎を解いていく青春ホラーミステリの連作。
 基本は陽気でやさしくしかし時に厳しい男子主人公の壱と、第一話開幕の時点で心に大きな傷を負っていたツンデレ美少女・晶水とのラブコメ、またはラブストーリーが物語の軸。
 現状でシリーズは3冊目まで出ていて、ふたりの関係はいまもゆるく進展中のようだが(詳しくは知らない)、とりあえずこの一冊目には全四編の連作中短編が収録されている。

 櫛木作品はそんなに読んでないけれど、作者が黒い時は黒いことぐらいは心得ている。しかしまあ、ジャケットイラストの雰囲気から、今回はそんなにイヤーンなものにはならないだろう? と推察。
 案の定、端々にきわどい毒は滲む世界だが、少なくとも現状は、そのラブラブ関係を応援したくなるような主人公コンビの雰囲気が瓦解する気配はない(まあこの先はわからないけれど)。頼りがいのある祖母ちゃん・千代のキャラもいいね。

 なお「夢見」能力そのものは各編に登場するものの、ミステリ的な事件へのオカルト成分の関与の濃淡は、さまざま。この辺の振り幅のバラエティ感は『カーナッキ』風でちょっといいかも。
 主人公コンビの恋の道行きも気になるし、続巻はおいおい読んでいきましょう。 

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