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ミステリの祭典

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夜の谷を行く

作家 桐野夏生
出版日2017年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 レッドキング
(2020/03/17 09:30登録)
「連合赤軍事件」・・鉄球映像で有名な「あさま山荘事件」の方ではなく、「山岳アジト12人同志殺害」及び「印旛沼事件」の方・・史上悪名高い連赤事件の実話の上に、フィクションを描いて行く小説。
ヒロインは、事件で懲役5年の判決を受け、出所後は塾を経営して生きてきたという設定の元連赤女兵士。実話部分は全て実名で描かれ、フィクション部分はもちろん仮名(一部は実名で)だが、仮名の登場人物達も、結構そのモデルが分かりやすい。肝心のヒロインは「永田洋子の側近」という設定で、2~3人モデル候補が浮かぶが、まあ虚構の女だな。
「連合赤軍」・・読んで字の如く「連合」した「赤軍」だが、元の2グループのうち、赤軍派の方ではなく、革命左派の方の「隠された目的」とは何だったのか、がミステリとしての主題を成している。
「永田洋子、それは私だ」「彼女たちの連合赤軍」・・フェミニズムという言葉さえ知られていなかった時代の混乱した情念の錯綜。社会思想的問題を匂わせながらも、「赤い雪」は言うまでもなく立松和平「光の雨」高木彬光「神曲地獄編」よりもずっとミステリしてる。 ※ある個人的思い入れからオマケ付き点数。

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