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ミステリの祭典

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幻の百万石

作家 南條範夫
出版日1984年11月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2020/03/09 18:30登録)
「幻の百万石」
まだまだ戦国の江戸初期BLスパイスリラー。歴史の大中小要素が絶妙に絡み合い、中心をしなやかなミステリ興味が吹き抜けて行きます。

「逆心の証拠」
これも大きく分けてスパイ物。歴史ミステリならではの(前提知識込み)瞬殺収束エンドが面白い。

「惨たり笠松城」
連続殺人、に殺人未遂、の後の完遂、が入り混じってちょっと複雑なフーダニット、かと思いきや、、ロジックで何する類の本格ミステリではない、それは別に良いが、ストレートな推理小説をやろうとして消化不良に果てたような気配も少し。時代物ならではの凄まじいエンディングと、無惨な詩情を放つ構成の妙(!)が記憶に残る。

迷い無くミステリ範疇に入れられるのは、わたくし基準で上記三作かと思いますが、南條氏独特の残酷味滾る切迫力で、どの作もミステリ愛好者との相性はよろしいかと。(実は一作だけ、小説というより歴史の教材に近い叙述のがありますが、、わたくし的にはそれも面白し)

戦国末期~江戸期の歴史乃至時代七篇。 実は明治もチラリと顔を出す(タイトルで見当付くかも知れません)。
幻の百万石/太閤の養子/悲願二百六十年/最後に笑う禿鼠/逆心の証拠/眼(まなこ)を突く剣士/惨たり笠松城  (旺文社文庫)

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