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ミステリの祭典

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さもなくば友を

作家 藤田宜永
出版日1994年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2020/03/09 10:20登録)
これぞ、本場フランスを舞台にした本物のノワール物。
本場といっても著者は日本人だが。

主人公は外人部隊出身で、インドシナ戦争経験者。物語にはそんな歴史的背景も関係する。
前半はギャングの仲間集めと、黄金の仏像の強奪。
ここまででも十分に楽しめるが、強奪後の後半こそノワールまっしぐら。
男の友情、裏切り、そして復讐。
わずかに色恋も絡む。

仲間集めの場面は七人の侍や荒野の七人を連想し、強奪のためのカジノ侵入の場面ではミッションインポッシブルが思い浮かぶ。黄金の仏像はマルタの鷹っぽくもある。
そして復讐場面は、健さんの唐獅子牡丹(昭和残侠伝)のラストの殴り込みって感じか。
小説や映画なんてその多くが、古典や名作からヒントを得ていることを想像できる。
本当にヒントにしたかどうかはわからない。藤田氏にたずねてみたいがもう聞けない。残念です。

かつては、ハードボイルド・鈴切信吾シリーズが好みだったが、歳のせいか、いまでは、本作のほうが合っているような気がする。
犯罪モノやノワール物は今まであまり読まなかったが、今回はかなり楽しめた。

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