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ミステリの祭典

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ハナカマキリの祈り

作家 美輪和音
出版日2013年10月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2020/03/02 22:13登録)
私は真尋、不破真尋。会社の飲み会の後、深夜に出会った彼女はどこか翳のある、優しくて有能な女性だった。つらい過去に囚われて苦しむ真尋は密かに彼女のようになりたいと願うが、次々と不可解な出来事に巻き込まれ、追い詰められた末に人を殺めてしまう。そこに彼女から、ある提案が―。私は真尋、不破真尋、なの?圧倒的な筆力で、驚愕のラストシーンまで主人公を追い詰めていく。「強欲な羊」でミステリーズ!新人賞を受賞した著者が贈る渾身の初長編。
『BOOK』データベースより。

序盤から中盤にかけて、方向性が定まらず右往左往させられます。どこに重点を置いて読めばよいのか分からず、どれを取っても中途半端な印象を受けます。そして人間関係が煩雑で解りづらいですね。カラクリは単純なのですが、それを上手く纏め切れていない感じが凄くします。サスペンスなのかホラーなのかイヤミスなのか判然としません。
女性作家の為か痛い描写が生温く、あまり残酷性が見られないのもインパクト不足と言って良いでしょう。ラストのオチは想定内でした、まあよくあるパターンですしね。

前二作の短編集は個人的に好意的に評価していました。どうやらこの人は長編が肌に合わないのかも知れないと思ったりもします。もう少し抑揚を付けるとかサプライズ的な趣向を凝らさないと、読んでいて中弛みしたり退屈さを覚えてしまうのではないでしょか。あまり期待はしていませんでしたので、裏切られた感はありません。でももう少し描き様があった気がしますねえ。

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