ミス・キューザックの推理 ロバート・ユースタスとの共著 |
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作家 | L・T・ミード |
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出版日 | 2016年01月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 弾十六 | |
(2020/02/29 21:00登録) 1899年から1901年にかけて掲載されたL. T. Meade&Robert Eustaceの女流探偵Florence Cusackシリーズ全6話を収録。kindleのヒラヤマ文庫で読了。平山先生の地味ですがとても良い仕事です。 掲載したHarmsworth Magazineは、3ペンス(=約230円)、96ページの挿絵なしの小説雑誌。1901年8月以降はLondon Magazineと改題。 ミス・キューザックは、なかなか面白い性格。推理というよりヒラメキで勝負するタイプです。 カッコ付き数字は単行本収録順。(雑誌掲載順に並んでいます) 初出は平山先生の解説をFictionMags Indexで補正。 ⑴ボヴァリー氏の思いがけない遺言状 Mr. Bovey‘s Unexpected Will (Harmsworth Monthly Pictorial Magazine 1899-4): 評価5点 語り手兼助手はLonsdale医師。遺言がとても面白いが、探偵小説としてはパッとしない話。文体もかなり古めかしいです。作中時間は1894年11月と明記。原文はBoveyボヴェイ氏のようなのだが… p64/1653 ソヴリン金貨: 当時はヴィクトリア女王の肖像(1838-1901) 純金K22、直径22mm、重さ7.98g。英国消費者物価指数基準1894/2020(130.83倍)で1ソヴリン=£1=18562円。金基準1894では£1=金7.34gなので1ソヴリン金貨の方が1.087倍高価。 (2020-2-29記載) よく考えるとソブリン金貨はK22(91.7%)なので金7.32g。ほぼ同じでした… (2020-3-6追記) ⑵ヴァンデルーアの逮捕 The Arrest of Captain Vandaleur (Harmsworth Monthly Pictorial Magazine 1899-7): 評価5点 伝達方法が面白いが、探偵小説としてはパッとしない話。文章がぎこちないけれど原文も概ねそういう感じです。 p368 五百ポンド: 第1話と同じ頃と考えて(この話は「四月」の事件)前述の換算で928万円。 p423 色が浅黒くて痩せた男(a dark, thin man): 「黒髪の」平山先生も浅黒党。 p519 ラフの競馬案内(Ruff’s Racing Guide): William Ruffが1842年に創刊した有名なRuff's Guide to the Turfのこと。 p535 勝ったら二十はいく(you’ll get twenties): 20倍という意味か。 p577 ジョッキー・クラブ(Jockey Club): ワスレナグサ種(Daylily)の異名か?WebではHemerocallis 'Jockey Club'となっていて正式な分類名がわからない… (2020-3-1記載) ⑶恐ろしい鉄道旅行 A Terrible Railway Ride (Harmsworth Monthly Pictorial Magazine 1900-7): 評価4点 列車は良いなあ。出てくるのは昔風の連絡通路がないコンパートメント。各客室の行き来は列車が止まっていないと出来ないので走ってる時は密室状態。トリックは面白いがブツをどうやって運んだのだろう… p698 一万五千ポンド: p64の換算で約2億8千万円。 p788『牧師名簿』: 英国国教会の牧師名鑑Crockford's Clerical Directory(初版1858)のことか。 (2020-3-3記載) ⑷外側の棚 The Outside Ledge (Harmsworth Magazine 1900-10): 評価4点 トリックは面白いが、伏線が足りない。このシリーズは皆そんな感じ。作中年代が「1892年11月」と明記されている。⑴は出会って最初の事件ではないらしい。 p870 五万ポンド: p64の換算で9億円。年収。 p961 ヴァレリアン(Valerian): 日本で有名な「アレ」に意訳したいけど、アレには鎮静作用はないか… (利尿、強壮作用は古くから知られていたらしい) 英国ではピンとくるのかなあ。 (2020-3-5記載) ⑸リード夫人の恐怖 Mrs. Reid’s Terror (Harmsworth Magazine 1901-3): 評価4点 作中年代は1893年11月。展開は良い。ショックを受けたら死んじゃう心臓病っていう設定、昔の作品に結構あるけど、人間はそんなにやわに出来ていないような気もする。 (2020-3-5記載) ⑹巨大なピンクの真珠 The Great Pink Pearl (Harmsworth Magazine 1901-6): 評価5点 1896年10月5日の物語。いつものようにワン・アイディア・ストーリー。ロンスデール先生の大活躍。 (2020-3-6記載) |