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ミステリの祭典

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幻影城
江戸川乱歩

作家 評論・エッセイ
出版日1951年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 蟷螂の斧
(2020/02/18 21:43登録)
探偵小説に対する乱歩の熱い気持ちが伝わってきます。しかし、乱歩は生涯、純探偵小説を書くことができなかった。さぞ無念なことだったろう。
「不連続殺人事件」(坂口安吾)について、乱歩は「探偵小説四十年」で「トリック外のトリック」と大絶賛している。それが何を指すのか不明であった。本作中の「不連続殺人事件」を評すで、次のように述べている。「普通の意味のトリックではなく、作品全体に蔽いかぶさっている非常に大きな別のトリックである。それは不倫乱行の別世界そのものなのである。」また、松本清張も「人間の設定、背景、会話が巧妙をきわめ、それに氏の特異な文体が加わって、その全体が一つのトリックだと気がつくのは全部を読み終わったときである。」と述べており、両者は一致している。(敬称略)


(以下ネタバレ)普通の登場人物が、ある異常な行為をとると目立つが、異常な人物が異常な行為をとっても目立たないというトリック。「不連続」は大げさに言えば、色情狂ばかりが登場する物語。

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