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ミステリの祭典

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痺れる

作家 沼田まほかる
出版日2010年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 レッドキング
(2020/02/10 15:14登録)
・「林檎曼陀羅」 半ば呆けた老女の記憶に点滅する、姑と自分と息子に関わる痛ましい真実の映像。
・「レイピスト」 安全な場所から気晴らしだけを女に求めた男と、冷酷な男への怨念を絶望的に諦念する女。
・「ヤモリ」 気まぐれに迷い込んだ館での気晴らしの果てに、館主の中年女に「命ごと」所有されてしまう若い男。
・「沼毛虫」 主家の幼女に献身的に使えた召使男の残酷で痛ましい童話。
・「テンガロンハット」 静かな日常に普通に侵入してきた男とのナンセンスなバトルの顛末。
・「TAKO」 冴えない不愛想な女と、映画館で隣席した痴漢「タコ男」のエロチックでナンセンスな小噺。
・「普通じゃない」 ウザいだけで特に恨みもない老人の殺害計画を練る女のブラックコメディ。
・「クモキリソウ」 一人暮らしの若い女と、料理だけは上手いが不器用で冴えない中年女の切ないファンタジー。
・「エトワール」 「別れた妻」への男の追想に振り回される女の日常的なサスペンス。  

この短編集をミステリというジャンルで括るのは正しくないのかもしれない。内容のほとんどは犯罪・・殺人から迷惑防止条例に至るまで幅広いが・・に関わっているし、謎の解明の趣きもあるのだが、趣旨は表現自体の方にあり、日常ホラー、日常サスペンス、ミステリアスホラー、不思議ショート・・て言った方がよいのか。だが、単に「文学」て言っても、もちろんミステリと呼んでも全然構わない。

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