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ミステリの祭典

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死者は穏やかに微笑んで

作家 金丸仁
出版日2014年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 猫サーカス
(2020/02/07 18:52登録)
公園で倒れていた身元不明の老人。担ぎ込まれた病院では息をしていないにもかかわらず、心電図は生きている人間と同じ波形を打っていた。ポケットに収まっていたノートの冒頭には「私が心肺停止、またはそれに近い状態になった時には蘇生術など延命行為を一切行わないでください」と記されていた。定年間近の外科医は父の介護のため静岡から実家のある横浜に勤め先を替えた。介護に励む妻に感謝する日々、老いへの受容や抗いは友人が試みる遺伝子操作に関心が・・・。誰もが望んでやまない不老長寿という課題を現代社会の問題を絡めて描いた小説。最新医療知見からSFの趣も。すべて仮定の上に成り立つ科学万能の日常における生老病死、人間の気持ちはどう揺れ動いていくのか。団塊の世代の先頭を走る著者自身の問答でもあろう、医師として向き合う視線は厳しい。

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