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ミステリの祭典

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六とん4 一枚のとんかつ
六とんシリーズ

作家 蘇部健一
出版日2010年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/02/07 22:27登録)
ある日曜日、六人が殺された。死体は岐阜・明智鉄道の六つの各停車駅の近所で発見され、犯人は電車を利用して犯行に及んだとみられる。最有力の容疑者には犯行時刻に鉄板のアリバイがあり、事件は迷宮入りする―「一枚のとんかつ」。他、全11編を収録。伝説のアホバカミステリが、さらにパワーアップして帰ってきたぞ。
『BOOK』データベースより。

表題作のアリバイ崩しは割と真面な方で、所謂時刻表トリックですが、単純明快で解りやすくまずまずの滑り出しです。『聖職』『犯行の印』『ひとりジェンカ』『修学旅行の悪夢』『翼をください』『追われる男』は最終頁のイラストで結末が分かる仕掛けになっています。これは同作者の『動かぬ証拠』の流れを踏襲するものですね。この中では『聖職』が一番ピンときますが、『追われる男』のラストが判然としません。どういうオチだったのでしょう、今考えてもスッキリしません。因みにこの一篇、主人公の女芸人のモデルはオアシズの光●靖●のようです。
意外と心に残るのはミステリでも何でもない純愛小説の『恋愛小説はお好き?』です。ミステリ作家としては駄目な人ですが、こういった異ジャンルの小説の方が体質に合っているのかも知れません。

蘇部健一はキング・オブ・バカミスの称号を与えられているようですが、本書はバカミスにすらなっていない気がします。でもあまり期待せず読めばそれなりに楽しめるのではないかと思いますよ。ユーモアミステリの一種ですが、笑えないネタが多いですね。

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