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ミステリの祭典

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若さま侍捕物手帖(光文社時代小説文庫)

作家 城昌幸
出版日1986年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 クリスティ再読
(2020/01/18 14:51登録)
五大捕物帳の一角を占めるこのシリーズ、規模的には銭形平次に並ぶ長短編合わせて300編以上の量がある人気作である。が、今では知名度は今一つかな、昔は大川橋蔵の当たり役である。捕物帳といっても、ミステリ読者が読むんだと、半七=超別格の必読、顎十郎=奇抜の2つを読んだあと、どれを読むか?というと評者はこのシリーズに一番ミステリ色の強い作品が多い印象があるんだよ。それこそ横溝の器用さが悪く出ててキャラ小説度の高い人形佐七よりもオススメである。(あとの右門・平次はいわゆる「捕物帳」だからねえ)
でも、こういう人気シリーズで今読める本となると、適当なアンソロになる。そうすると、総タイトルの「若さま侍捕物手帖」で本がいろいろと出て、収録作がバラバラになるので、このサイトのルール(同題不可)だとどうしようか。まあ文庫名をつけて登録するのがいいのでは..で kanamori さんのランダムハウス講談社時代小説文庫の登録とは別扱いにしておきます。もし、統一した方が...の声があれば合併します。
この光文社文庫の若さまは、中編「双色渦巻」に短編「生霊心中」「埋蔵金お雪物語」「幽霊駕籠」「十六剣通し」「金梨子地空鞘判断」を収録。「双色渦巻」は質屋の蔵に強盗が二晩続けて入るが、取っていったものがない。若さまが乗り出して、残りの蔵の番をするが、そこに現れたのは剣の腕の立つ宗匠頭巾だった。旗本の家に伝わる呉須の大皿の質入に絡んだ背景が...という話。宗匠頭巾の意外な正体とか、死んだふりとか、ミステリ的な手法が目立つ作品ではある。
この若さま、正体不明、船宿喜仙に腰を据えて、酒を飲み続ける男前。で、岡っ引き遠州屋小吉が持ち込む事件を、話を聞いただけで解き明かす...という「隅の老人」風の設定があって、若さまが外に出ない安楽椅子探偵の短編がとくにミステリ色が強いんけども、このアンソロ、このタイプの作品集録がないんだね。少し外出してるとか、遠征とか、そこらへんが期待外れ。もっとミステリ読者が喜ぶ作品が、あるよ。

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