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ミステリの祭典

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くくるくる

作家 一肇
出版日2010年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/01/13 22:18登録)
高校入学式の翌日、語木璃一は公園で一人の女の子に出会う。その少女は桜の木の枝に荒縄をくくりつけている。うーん、ひょっとしてこれは首吊りってやつですか?桜の花びらが降り、少女が宙に浮かぶ…と、同時にぶちんと音がして少女はそのまま落下!「げうー。もう百二十二回め!また首吊りに失敗!」―自殺を試みようとするたびに天変地異が巻き起こり絶対に死ねない少女・なゆた。そんな彼女に一目惚れしてストーキングする少年・璃一。桜の下で巡りあい“括る繰る”でクルクル回る不思議な恋物語のはじまり。
『BOOK』データベースより。

何度自殺しようとしても死ねない少女なゆたと、彼女と出会い観察者兼記述者となった璃一のボーイミーツガールの物語。ですが、単なるラブストーリーではありません。主要キャストは他に璃一の妹ありす、全国を股に掛ける連続殺人鬼キリングK、警視庁捜査一課警部補霧ヶ峰しずかの五人だけ。それでも紆余曲折あり、なかなか面白い物語に仕上がっています。特に最終局面はそれまでののほほんとした雰囲気が一転、とんでもないスケールと作風からは想像もできないような○○ぶりを見せます。油断なりませんね。
一応なゆたが自殺する度に起こる天変地異の理由も明かされます。勿論物理的な面からではなく何故なのかという観点からのアプローチではありますが。

それにしてもラノベの男子は何故誰も彼も喜怒哀楽がないのでしょうね。腹が座っているというか、一見普通の男子を装っているものの、一般的な感覚から相当ずれているのが定番なのが不思議です。しかし本作はそれを利用するようなある仕掛けが施されており、只のラノベと思っていると足を掬われることになりますよ。
作者はあとがきで触れているようにプロットは考えないらしいです。どうやらそれぞれのキャラが独り歩きしていく模様。それも才能の一種なんでしょうね。

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