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ミステリの祭典

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漂流密室
湯川幸四郎シリーズ

作家 湯川薫
出版日2001年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2020/01/10 21:10登録)
(ネタバレなしです) 2001年発表の湯川幸四郎シリーズ第4作の本格派推理小説です。徳間ノベルス版では世界遺産ミステリー第1弾と宣伝されていますが、その後第2弾が発表された形跡はないようですが。本書に登場する世界遺産は屋久島で、序盤と終盤では触れられていますがミステリーの舞台は人工の浮島「メガ・フロート」です。この作者らしくトリックに力を入れており、雑然が整然を上回るかのような逆説的な発想が見事です。また演繹法でも帰納法でもない第三の手法による推理を試みているのも注目で「読者への挑戦状」まで付いています。こういった長所が多くあるのですが、幸四郎たちが閉じ込められて無事に脱出できるのかというサスペンスが優れているばかりにせっかくのトリックが演出不足気味になってしまったことはちょっと惜しいです。また犯人当てとしてはこれが唯一の正解という説得力が弱く、他の犯人パターンでもいいのではと思えてしまい、こちらについてはかなり残念。

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