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ミステリの祭典

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千葉の殺人

作家 アッシュ・スミス
出版日2019年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2020/01/10 12:25登録)
(ネタバレなし)
 その年の6月15日。千葉県M市の路上で34歳の無職・中内潤子が刃物を振るい、道行く男女を次々と襲った。死者も出て犯人の異常な通り魔的犯行が世間の注目を浴びるなか、55歳のジャーナリスト・永野昭一は、自分のサイトにその事件の犯人・潤子から少し前に投稿があったことに気がつくが。

 二人の主人公といえる潤子と永野、前者は犯行に至るまでの過去の軌跡を主体に、後者は過去と現在をまぜこぜにしながら、双方のキャラクターについての叙述をほぼ並行的に語る作り。悪く言えば「よくある仕掛けものミステリ」である。
 否定的な物言いから始めたのは、読んだ直後はちょっと感心した記憶があるものの、読了から一週間ほど経った現在、面白みもインパクトも加速度的に薄れていく感触があるため。
 そもそもこの作品、最後に(中略)をキモとするのはいいのだが、主人公の一方の方は客観的三人称描写をしてるなら、そこで語られるのが自然な情報が都合良く覆い隠されてる(悪い意味での作者の神の所作が介在している)。さらにもう一方の主人公の方も、あとから考えれば自分から(中略)しなかったというのはいささか不自然ではないか? 少なくとも法令上は可能だよね?
 物語の全編をバックギャモンの様式になぞらえたのもスタイリッシュではあるが、同ゲームとの接点は主人公の片方にしかないのでやや中途半端な感じもある。あと、ところどころに出てくる文芸ネタが下品で汚いものが多いのも、この作品の場合は、個人的に減点。

 まずまず面白かったけれど、随所に引っかかる感じも多い作品。評点はまあ、こんな所で。

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