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ミステリの祭典

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東京二十三区女 あの女は誰?
東京二十三区女

作家 長江俊和
出版日2019年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/12/29 23:01登録)
「東京の隠された怪異」の取材で二十三区の都市伝説の現場を巡るライターの原田璃々子。霊を信じない先輩・島野と取材を続けるが起こるのは奇妙なことばかり。“池袋の女”のポルターガイスト伝説、東向島の“迷路”に消えた小説家、願いを叶える「立石様」の奇跡…。そして「将門の首塚」の取材中、璃々子は二十三区最大の禁忌に触れ―。
『BOOK』データベースより。

前作同様、東京二十三区の心霊スポットを取材、都市伝説を絡めたホラーテイストのルポとそれぞれの区の物語。

『豊島区の女』 巣鴨プリズンと帝銀事件。シンシャイン60は実は巨大な○○だった。
これが最もミステリに近い内容となっています。情緒溢れる悲恋物語と思いきや・・・。

『墨田区の女』 永井荷風の『濹東綺譚』。浮世絵師歌川国芳の『東京三ツ又の図』には当時では考えられないものが描かれていた。
奇妙なアルバイトで、見知らぬ母娘の父親役として雇われた男の顛末とは?

『葛飾区の女』 首無ライダーの由来と、立石熊野神社の謎。
所謂下町の人情話。何故かほろりとさせられる、不思議な魅力に満ちたある家族の物語。

『千代田区の女』 京都で打ち首になり獄門台に晒された平将門の首が、東京まで身体を求めて飛んできたという伝説の将門塚。
ここでは、主人公の原田璃々子と島野の関係が明らかになり、衝撃の展開が待っている。

という訳で、今回も十分に楽しめました。内容が濃くギュッと詰まっている割にはコンパクトでライトな文体で描かれており、非常に好感が持てます。やや微妙な終わり方だけに、続編が気になるところです。まだ続くとは思いますが、今後どの視点でどういう形になるのか不透明ではあると思います。
本当は7点にしたかったんですが、涙を飲んで6点で。

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