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ミステリの祭典

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少女は踊る暗い腹の中踊る

作家 岡崎隼人
出版日2006年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2019/12/22 22:14登録)
連続乳児誘拐事件に震撼する岡山市内で、コインランドリー管理の仕事をしながら、無為な日々を消化する北原結平・19歳。自らが犯した過去の“罪”に囚われ続け、後悔に塗れていた。だが、深夜のコンビニで出会ったセーラー服の少女・蒼以によって、孤独な日常が一変する。正体不明のシリアルキラー“ウサガワ”の出現。過去の出来事のフラッシュバック。暴走する感情。溢れ出す抑圧。一連の事件の奥に潜む更なる闇。結平も蒼以もあなたも、もう後戻りはできない!!第34回メフィスト賞受賞!子供たちのダークサイドを抉る青春ノワールの進化型デビュー。
『BOOK』データベースより。

話自体は悪くないと思いますが、何とも纏まりに欠ける印象を受けます。
粗削りな文章、味気ない文体、全く見られない心理描写、プロットのこなれなさなど欠点を挙げればキリがありません。まあノワールですよ、真っ黒です。でも青春じゃありませんね。こういうのが一般受けするようではまさに世も末、末世です。舞城王太郎に作風が近いとする意見もありますが、似て非なるものだと私は思います。

連続幼児誘拐事件の動機は意表を突いていて、なかなか面白いです。かなり呪われていますけどね。しかし、四番目の事件の両足切断の理由はどうにも納得がいかないです。納得がいかないという点では、もう総てに対して言えますね。そもそも幼児の死体を発見した時点で、何故主人公の結平は真っ先に警察に連絡しないのか、そこに拘ってしまった私はおそらく読者失格なのかも知れません。本書に関しては。又、ウサガワは何故無意味な虐殺を行うのかも不透明ですし。ただ派手な事件で賑わわせようとの目論見にしか見えません。そして誰も彼もイカれてる、小説としては破綻していなくても、物語として破綻している気がしてなりません。
もう少し上手く書き上げていたら、もっと評価は上がったと思いますがね。でも所詮メフィスト賞なんてこの程度でしょう。

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