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ミステリの祭典

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黄金の腕

作家 阿佐田哲也
出版日1984年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/12/09 22:21登録)
麻雀は一般的に言えば遊びであるし、レートもその範囲で決められる。だがその域を抜けると、賭ける金額を自分の経済力ではなく自分の技量で決めるようになる。当然上のクラスへいくほどその闘いは熾烈を極める「レートは?」「金なんか賭けていないよ。でもラスを喰うと、金より多少重たい」遊び人川島に誘われて行った麻雀は、金を賭けた麻雀以上の異様な雰囲気が漂っていた。逃げ場のない喰うか喰われるかの本当の勝負が始まった。
『BOOK』データベースより。

麻雀小説ですが、スリリングでサスペンスフルな短編集。無論ミステリではありませんがピカレスクロマンというか、犯罪小説には違いないですからね。
何と言っても表題作が良いです。「金より多少重たい」の台詞が怖いですね。他の短編もそうですが、すんなり入り込めて自然にのめり込めるタイプの娯楽作となっています。『国士無双のあがりかた』には、新撰組の小島武夫、古川凱章が匿名(一文字変えただけ)で出てきて、二人の対照的な個性が光っていますね。『北国麻雀急行』は他の作品集で読んだような。
相変わらず虚々実々と言いますか、全くのフィクションなのかそれとも実話を脚色したのか判然としないような書きっぷりで、読者を魅了している感じがします。

本来7点ですが、何故かラスト二作に色川武大名義の凡作が混じっているので減点しました。氏の小説はほぼ読んでいると思っていましたが、探せばあるもんですね。やはり阿佐田哲也は面白い。

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