(2019/11/25 20:46登録)
(ネタバレなしです) 2004年発表のアダムスベルグシリーズ第4作です。これまで私が読んだシリーズ作品はプロットが迷走しながらも本格派推理小説ではありましたが本書は警察小説とスリラー小説のジャンルミックス型だと思います。三つの刺し傷のある死体が発見され、アダムスベルグが過去の因縁を語ります。1949年から1983年にかけて三つの穴の殺人事件が8件発生し、内7件は犯人が捕まっていますが実は真犯人は別にいるというのです。そしてもう1件(30年前)で犯人と疑われたのはアダムスベルグ(当時18歳)の弟ラファエル(当時16歳)でした。アダムスベルグは真犯人(名前を明言しています)を14年間に渡って追跡するのですが何と真犯人は1987年に死んでしまったと言います。では現代の事件は誰が犯人なのかという謎解きになるのですが、ここから思わぬ展開が。何とアダムスベルグ自身が巻き込まれ型サスペンスの主人公になって大変な窮地に陥るのです。もはや本書は本格派の枠組みからは大きく外れており、悪魔のような犯人とのどんでん返しの攻防が凄まじいです。アダムスベルグを助ける個性豊かな脇役たちの活躍も読ませどころです。
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