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ミステリの祭典

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スリジエセンター1991
バブル三部作

作家 海堂尊
出版日2012年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2019/11/19 21:26登録)
「ブラックペアン1988」「ブレイズメス1990」に続くシリーズ三作目。
因みに“スリジエ”とはフランス語で「桜」の意。物語のラスト印象的なシーンで登場する。
2012年の発表。

~世界的天才外科医・天城雪彦。手術を受けたいなら全財産の半分を差し出せと言い放ち、顰蹙も買うが、その手技は敵対する医師をも魅了する。東城大学医学部で部下の医師・世良とともにハートセンターの設立を目指す天城の前に立ちはだかる様々な壁。医療の「革命」をめぐるメディカル・エンターテイメントの最高峰~

かなり面白い。ただし、本シリーズの愛好者にとってはだが・・・
これは「ブラックペアン1988」の書評で書いたフレーズなのだが、今回も全く同じ感想になる。

前二作を読了してしばらく期間が空いてしまったのが失敗だったが、本作も東城大学医学部にまつわるサーガに連なる作品。
中盤までは、主な語り手である世良医師をとおして、天城医師の天才的な手技と破天荒な行動が綴られていく。
このまま行けばスリジえセンターの設立も確実という二人の前に立ちはだかったのが、高階権太・現東城大学理事長という構図。
しかし、物語は中盤以降、思わぬ展開を迎える。嵐のような日々が過ぎ去り、ラストには衝撃の展開が待ち受ける。
ただし、この「衝撃」は湖のさざなみのように静かにやって来るのだ・・・

やはり作者のエンターテイメントを綴る力は只者ではない。
東城大学医学部という閉じられた「箱」をめぐる、さまざまな人間と巻き起こるさまざまな事件。
時間と空間を思いのまま操る作者の筆力と構想力。
読者はまるで生き証人のように、これらの物語を記憶していくことになる。

本作単体で評価するとまぁそれほど高くはならないけど、シリーズとおしての評価であれば決して低くはできない。
つまりは、読者もシリーズを読み継がなければならないということ。
じゃないと、本シリーズの魅力は半減するだろうね。
(大学病院ってやっぱり伏魔殿なのかな・・・)

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