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ミステリの祭典

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年上の女

作家 連城三紀彦
出版日1997年11月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 E-BANKER
(2019/11/19 21:30登録)
いかにも連城らしい・・・といえる作品集。
基本、非ミステリー色の強い作品が並んでいますが、そこは「連城」ですから・・・
1997年の発表。

①「ひとり夜」=昭和40年代から50年代だなぁーという感想。
②「年上の女」=「私に結婚を申込んだ男には、私より愛している女がいます。その女は男より五歳年上で、ブランド品を買い与え・・・」見知らぬ女からの身の上相談。自分には何の関係もなかったはずが、いつの間にか・・・連城マジック!
③「夜行列車」=今はなき、上野発上越線回りの青森行きの夜行列車。寝台車でもない。そこに偶然隣り合った男と女。しかも、互いに不倫の関係・・・そんな偶然フィクションでしか有り得ない。
④「男女の幾何学」=意に沿わないお見合いの席。男と女が虚々実々の駆け引きをしているかに見えて、実は・・・ラストに反転される。
でも、ここまで回りくどいことまでしなくても・・・
⑤「花裏」=これも互いに不倫している夫婦の話なのだが、読んでるうちに何が事実で何が嘘か分からなくなる。そういうのも連城っぽい。
⑥「ガラス模様」⑦「時の香り」=ショートショートのような分量。⑦の方がシャレてる。
⑧「七年の嘘」=またまた互いに不倫している夫婦の話。なのだが、何だか男の方が切ない。そしてまたまた「事実」と「嘘」の境目が分かりにくい。
⑨「花言葉」=電車の中で痴漢ではなく、ポケットの中に花一輪を忍び込ませる男。しかも毎日。なぜ?という話。
⑩「砂のあと」=これも・・・実に気だるい夫婦の話。そしてまたも互いに不倫している。最後はもはやどうでもよくなる。

以上10編。
とにかく「不倫」である。一昔前の作品だし、ちょうど某俳優が「不倫は文化だ」的発言をした時期に重なる頃なのかもしれない。
長年連れ添った40代の夫婦が互いを飽きてしまい、違う男、そして違う女に惹かれてしまう。
実によく分かる話だ。そりゃそうだ・・・

いやいや不倫についての感想はどうでもいいんだった・・・
他のミステリー作品のような捻りや独特の反転の味は薄いので、そこらへんを期待すると失望感を味わう。
よって作者のファンでもスルーでOK。不倫してる方や不倫願望のある方が読めば登場人物の心情にシンクロするかも・・・
私は・・・シンクロしました!

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