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ミステリの祭典

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ぶらんでぃっしゅ?

作家 清涼院流水
出版日2005年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/11/12 22:36登録)
まだ生まれる前、母のおなかの中で聞いた“ぶらんでぃっしゅ”という謎のコトバは、誕生後もずっと「ぼく」の人生を支配し続けていた。特別な人との出会いや別れをも予感してしまう、不思議な能力に目覚める「ぼく」。何度も姿を見せる、死神のようなライダーはいったい何者なのか?1500を超す候補から選び抜かれた108の名作“ぶらんでぃっしゅ”によるトーナメントは、コトバのマスターたちの競演で、興奮の頂点へ!そして、クライマックス。連続強盗殺人犯“ブラン・ディッシャー”の銃口が「ぼく」に向けられる―。この姿を見るのは、これが最後だ。
『BOOK』データベースより。

主人公常盤ナイトが誕生する前から彼の頭の中には「ぼく」がいて、その「ぼく」による一人称という形式が新しいと言えば新しいとです。つまり、ナイトと常に行動を共にし、その感覚や感情をある程度共有することが出来る訳です。しかし別人格ではなく、あくまで共感覚を有する分身の様なものでしょうか。
物語は“ぶらんでぃっしゅ”という謎の言語を巡っての言葉遊びが主体となっていて、ナイトと仲間たちによるそれに響きが似た言葉のトーナメントが、一番の見せ場となっています。コンビニ連続強盗殺人犯の残す“ぶらんでぃっしゅ”という謎の言葉に最も響きが近い類似語は何か?そんな下らないことを一生懸命追及する彼らの姿が、馬鹿馬鹿しくも微笑ましいのです。そして、そんな仲間たちとの出会いと別れを青春小説風に綴っています。まあここまではジャンル不明の異色作なんですけどね。

しかし、最終章でいきなりそれまで見ていた景色が一変します。この反転こそがこの小説の真の狙いだったのかと、暫く唖然とさせられます。これには正直やられました。
尚、森博嗣、西尾維新が名を変えて友情出演?します。でもそれはちょっとしたアクセントに過ぎませんので、あまり過度な期待は禁物でしょう。

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