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ミステリの祭典

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君のために今は回る

作家 白河三兎
出版日2013年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/11/07 22:44登録)
ねぇ、銀杏。わたしたちは確かに友達だったよね?わたしが観覧車の幽霊になって随分時間が経ちました。この観覧車には変わった人がいっぱい乗ってきます。盗聴魔、超能力を持つ占い師、自信喪失した女記者、ゴンドラでお見合いをする美人医師…みんな必死にくるくる生きてる。だから今、わたしは人を思う力を信じてる。そうしたらいつかもう一度、あなたに逢えるかな?これはすれ違う人々の人生と運命を乗せて、回り続ける観覧車の物語―。
『BOOK』データベースより。

「分かる~」とか「あるある~」的な共感を呼ぶエピソードが随所に散りばめられていて、とても共感出来る好感度の高い作品。詩的でありながら判りやすい文章が心地よい、作者の文才を感じる佳作でもあります。
物語は観覧車の地縛霊となった千穂と、千穂が憧れていた同級生の銀杏のパートが交互に進行します。どちらの登場人物も個性的な面々で、特にゴンドラに乗り込む占い師の「おっちゃん」と、お見合いをするのだが悉く冷淡に撥ね付ける「かぐや姫」がいい味を出しています。最後にこの二人の直接対決が見られるかと思いきや、残念ながらニアミスで終わってしまったのが心残りではありますが、二つの並行するストーリーが最後には見事にクロスしていく過程が読みどころです。
ハートウォーミングな語り口が光る、可笑しくもちょっぴり切ないファンタジー小説です。

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