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ミステリの祭典

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運命の日

作家 デニス・ルヘイン
出版日2008年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 びーじぇー
(2019/10/12 20:58登録)
物語は、本書で狂言まわしをするベーブ・ルースが、オクラホマで黒人たちと野球に興じる場面からはじまる。そこでベーブは腕のいい投手ルーサーと出会うのだが、ルーサーは黒人であり、多少心を痛めても、判定を有利に進めて勝利をつかむ。
そんな挿話のあと、第一次世界大戦後のボストンを舞台にうつし、警官たちのストライキに焦点があわさる。戦争後の財政の悪化から低賃金を強いられ、さらに低保証のために警官たちの我慢も限界に達していた。
ボストン市警の巡査ダニーは、警部である父トマスの命令で、そんなストライキを計画する急進派のグループに潜り込む。しかしダニーはやがて待遇改善を呼びかける警官たちの先頭に立ち、父親と対立を深めていく。
一方ルーサーは、ギャングとトラブルををおこし、オクラホマを追われてボストンにやってきて、トマスとダニーのコグリン家で働くことになる。こうしたダニーとルーサー、そしてダニーが密かに思いを寄せる使用人のノラの三人が心を通わせるようになるが、騒然とした時代の中で、三人はさまざまな苦悩に直面する。
当時の史実を折り込んだ歴史小説であり、親子の確執を捉えた警察小説でもある。また、愛と家族と許しを巡る物語が深く豊かに織り上げられて圧倒的。ルヘイン作品の特徴でもある、やるせない哀しみとそこはかとない孤独感がここにもあり、それが逆に不安と絶望を生きる現代人の心を慰撫する。

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