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ミステリの祭典

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芥川龍之介全集〈1〉 (ちくま文庫)

作家 芥川龍之介
出版日1986年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 弾十六
(2019/10/03 05:32登録)
ここ数ヶ月、1920年代の英国翻訳小説や原書をかじっていたので、日本語が読みたくなりました。格調高い日本語、といえば柳瀬尚紀先生ご推薦の龍之介(敬称略)ですね。まとめて読むのは初めてです。
文庫に凡例が書いてないのでよくわかりませんが、各篇最後に記されてるのは執筆時なのかな。以下西暦で表示。年齢は西暦時(3月1日生)のもの。初出は青空文庫調べ。FictionMags Indexみたいなデータベースすらないのが日本の研究水準を… という愚痴はさておき、例によってなるべくクロノロジカルに読み、ボツボツと感想を。評価点は暫定。

「老年」(新思潮 大正三年(1914)五月号、柳川隆之介 名義) 1914-4-14(22歳): 評価4点
たった10ページの小品に注釈が58箇所。一中節とか歌沢とか新内とか純邦楽(やな単語ですが)に馴染みのない現代日本人向けには仕方がないところですが、それにしても… 同時代の英国小説より遠い位置にあるのかも、と思いました。これが龍之介の一般発表を意識した初の著作なのかな? 随分と力が入っています。おさらい会の年寄りのエピソード、というつまんない話題に通ぶって色々書き込んだところが若気の至りっぽくて、やなガキだねぇ、という感想。これ読んで三味線の音と歌声が聞こえる人しか相手にしないよ、という江戸ぶり。多分当時でも古臭い話。これを「新思潮」(東京大学の同人誌)というタイトルの雑誌に発表するところが捻くれ者ですね。
(2019-10-3記載)

「青年と死」(新思潮 大正三年(1914)九月号、柳川隆之介 名義) 1914-8-14(22歳): 評価5点
戯曲。姿の見えない忍び男、というミステリ風。「死」の扱いがいかにも書生っぽい。(「表と裏」というのが若いねぇ)
(2019-10-3記載)

「ひょっとこ」(帝国文学 大正四年(1915)四月号) 1914-12(22歳): 評価5点
遠景と近景を上手く使ってある男を描写。妙なエピソードが心に残ります。空っぽなその人生は作者自身のことなのか。「帝国文学」は東京大学文科の関係者による文学団体「帝国文学会」の機関誌。
(2019-10-4記載)

「仙人」(新思潮 大正五年(1916)八月号) 1915-7-23(23歳): 評価4点
中華もの。作者は貧乏したことが無かったんだね。おぼっちゃま感が見え見え。
(2019-10-5記載)

「羅生門」(帝国文学 大正四年(1915)十一月号) 1915-9(23歳)
「鼻」(新思潮 大正五年(1916)二月号) 1916-1(23歳)
「孤独地獄」(新思潮 大正五年(1916)四月号) 1916-2(23歳)
「父」(新思潮 大正五年(1916)五月号) 1916-3(24歳)
「虱」(希望 大正五年(1916)五月号) 1916-3(24歳)
「酒虫」(新思潮 大正五年(1916)六月号) 1916-4(24歳)
「野呂松人形」(人文 大正五年(1916)八月号) 1916-7-18(24歳)
「芋粥」(新小説 大正五年(1916)九月号) 1916-8(24歳)
「猿」(新思潮 大正五年(1916)九月号) 1916-8(24歳)
「手巾」(中央公論 大正五年(1916)十月号) 1916-9(24歳)
「煙草と悪魔」(新思潮 大正五年(1916)十一月号) 1916-10-21(24歳)
「煙管」(新小説 大正五年(1916)十一月号) 1916-10(24歳)
「MENSURA ZOILI」(新思潮 大正六年(1917)一月号) 1916-11-23(24歳)
「運」(文章世界 大正六年(1917)一月号) 1916-12(24歳)
「尾形了斎覚え書」(新潮 大正六年(1917)一月号) 1916-12-7(24歳)
「道祖問答」(大阪朝日新聞夕刊 大正六年(1917)一月二十八日?) 1916-12-13(24歳)
「忠義」(黒潮 大正六年(1917)三月号) 1917-2(24歳)
「貉」(読売新聞 大正六年(1917)三月十五日) 1917-3(25歳)
「世之助の話」(新小説 大正七年(1918)四月号) 1918-4 [順番がおかしいが…]
「偸盗」(中央公論 大正六年(1917)四月号(章1-6)、七月号(章7-9)[“続偸盗”]) 1917-4-20(25歳) [“続偸盗” 5-10脱稿との情報あり]
「さまよえる猶太人」(新潮 大正六年(1917)六月号) 1917-5-10(25歳)
「二つの手紙」(黒潮 大正六年(1917)九月号) 1917-8-10(25歳)

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