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ミステリの祭典

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三面鏡の恐怖

作家 木々高太郎
出版日1955年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2019/09/07 11:34登録)
「そうだ。一つはーーあれは、ものにしようと思えばなる」
「よくないぞ。しかしーーそんなことより外に、真面目な方面の方がよいと思うぜ」

吹き荒れる直接心理描写の嵐、機敏に立ち回る地の文、意志みなぎり適時トボけた味も出す夥しい会話群、三者の信頼あるせめぎ合い持続が読者を不安の方角へと牽引する、不思議な感覚の戦前サスペンス長篇(短め)。恋愛はあくまで演出要素。でも社会派的内容は物語中枢の三割強占めるかな。中盤、戸籍片手の冒険シーンは良かった。四つと二つの機微とか。。 最後(解決篇)の雪崩打ちっぷりは何やらバカミスの様相も露見させ、妙に憎めない作品に化けちゃって終了。それも悪くない。 

河出文庫の表紙、良いですね。 夏にヒンヤリする感じ。
帯の二階堂さん直筆激賞はちょっとハイプ気味だけど。

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