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ミステリの祭典

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春はそこまで

作家 志川節子
出版日2012年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2019/09/05 11:06登録)
芝神名宮近くの商店街の人間模様を連作形式で描いている。
物語は、跡取りの瞬次郎に不満がある絵草紙屋の笠兵衛、夫の亀之助の女遊びに悩む薬種屋の妻おたよ、両親が別れ、母と暮らす少年の佑太らを主人公にした人情話が中心になっている。
だが中盤以降は、ライバルの新興商店街から客を取り戻すために計画された素人芝居の行方や、瞬次郎と半襟屋のおちせが恋に落ちたことで巨大な陰謀の存在が浮かび上がるなど、波乱に満ちた展開になる。そのため、市井物が好きでも、サスペンスが好きでも満足できるように思える。
各章で積み残された伏線が、すべて収まるべき場所に収まる最終章はとにかく心地よく、さわやかな気分で本を閉じることができるはずだ。

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