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ミステリの祭典

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奇病探偵 眠れない夜

作家 牧野修
出版日2013年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/08/31 22:57登録)
気弱な青年の森田彼岸が潜り込んだJCDC―日本疾病管理予防研究所は、感染症については国内NO.1の研究所。だが所長の伊丹桜をはじめ、田崎美女らトップの研究者は、美人だがエキセントリックな言動で彼岸を圧倒する。しかも彼女たちは、さまざまな社会悪の原因となる特殊な“奇病”を追い、排除する奇病探偵でもあった!蔓延する自殺衝動、とある地域で急増するゴミ屋敷、とつぜん凶暴化する人々…。次々に研究所に持ち込まれる難事件を、田崎たちは周囲や彼岸に多大な被害を及ぼす、過激な手法で解決してゆく。だがその活躍を目にするうち、彼岸には疑問が生じる。どうして彼女たちはここまで手際よく対処できるのか。なぜ自分のような素人がこの研究所に受け入れられたのか―?やがて彼の危惧は最悪の形で具現化して…!?鬼才が描く傑作バイオニックサスペンスホラー!
『BOOK』データベースより。

六編から成る連作短編集。
勿論架空のものですが、奇病の裏に潜む特殊な病原菌の謎を追う、大袈裟に言えばバイオハザード的な物語です。内容が濃く異常なわりには文体はとてもライトで、表紙の印象でかなり損をしている感じがします。日本疾病管理予防研究所の所長や所員たちは非常事態にも決して狼狽えることなく毅然としており、しかもそれぞれのキャラも良い感じで立っていて、その意味ではライトノベルに近いと思います。また、タイトルは探偵と謳っていますが、ミステリ的要素は内包していますけれど、正統派の本格物とは別物と思って頂いた方が賢明かと。

最終話で例によってそれまでの事件を振り返り、意外な真相が浮かび上がると言うより、やっぱりそうだったのねみたいな纏め方をして、綺麗にハッピーエンド(?)に持って行っています。この作者は結構変幻自在な作風を見せる作家で、これはこれで十分面白かったと思いますね。世間的認知度は非常に低いですが、この人の実力は侮れないですよ。

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