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ミステリの祭典

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背中、押してやろうか?

作家 悠木シュン
出版日2017年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2019/08/30 12:41登録)
(ネタバレなし)
「ぼく」こと平一平(たいらいっぺい)は、陸上部に所属する中学二年生。同じ部の仲間でもあるムードメイカーの小宮智也が親友だ。そんなある日、不登校子女だった級友の美少女、久佐井繭子(くざいまゆこ)が登校してくる。イジメを受ける繭子を目立たないように庇う一平と智也。そしてある朝、一平は朝礼で、同じ小学校で旧友だった別のクラスの同窓生、龍和彦が車にはねられて死んだ事を知った。その前後から、一平の日常は少しずつ壊れ始める。

 評者はこの作者の作品は二冊目。この夏、2019年の最新作『君の××を消してあげるよ』を先に読み、妙に心に引っかかったので、あまり間を置かず、少し前に刊行の本作を読んでみた。
 『君の××』同様、少年少女たちの、ダークさを含んだストーリーをすごく清涼な文体で綴る青春ミステリで、今回も読み進めている内にその形質そのものに強烈に引きこまれていく。文章には独特な品格がある一方、ラノベなみのリーダビリティで三時間もかからずに読了してしまった。
 
 ただし一応の(中略)がある『君の××』に比べて、ダーク度は本作の方がたぶん高い。いったい何が物語の底にあるのか終盤まで見えない小説の作りが、最後にこういう方向に帰結することに、意外性と同時にある種の納得も覚える(だから内容に関しては、あんまり字数を使って書けない)。
 そんな部分も踏まえて、自分的には『君の××』よりもこっちの方が好みかも。

 ややイヤミス度を増した白河三兎作品みたいな趣もあって、けっこう気になる作者である。既刊や今後の新刊はチェックしていこう。

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