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ミステリの祭典

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皆勤の徒

作家 酉島伝法
出版日2015年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 小原庄助
(2019/07/29 10:20登録)
第2回創元SF短編を受賞した表題作を含めて、同じ未来史に属する世界を描いた4編からなる本書は、幻想文学的なイメージ喚起力でも、ハードSF的な科学的アプローチでも、実に見事な作品。地球ならびに人類の変容が、前例のない壮大で異様な物語として語られる。
ナノレベルのマシンの暴走で文明が崩壊した後の世界。人類の多くが生体を捨てて生物機械に人格を転写し、再生知性として延命する一方、生身のままであることを選んだ者たちはシェルター「避難蛹」で冷凍眠に入る。だが、そのどちらにも、人間という概念からは逸脱した未来が待っていた・・・。
圧巻なのは登場するさまざまな存在や事象の不気味なリアルさ。著者は、漢字の意味と呪術的形態と、読みの音声イメージを活用した造語を巧みに繰り出し、おどろおどろしくもおかしみを誘う圧倒的な「グロテスクリアリズム」を達成した。具体例を挙げると塵造物、隷重類、遮断胞人などなど。これらがどんな存在かは読んで確かめてほしい。なお、幻想性を楽しみたい方は冒頭から、ハードSF的な世界像の把握が気になる方は「百々似隊商」から逆に読んでいくといいかもしれない。

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