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ミステリの祭典

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昭和探偵1
私立探偵・熱木地塩

作家 風野真知雄
出版日2018年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2019/07/22 20:26登録)
(ネタバレなし)
「わたし」こと熱木地塩(あつきちしお)は、西新宿に事務所を開く職歴22年のベテラン探偵。自分の娘で若くて美人の葉亜杜(はあと)をアシスタントに細々と仕事を続けていたが、先日、旧友の依頼でTVの懐かしもの深夜番組「昭和探偵」の顔出しホスト役を務めたところ、依頼が続々と来るようになった。だがその中には、数十年単位での昭和の思い出にからむ難題までが持ち込まれて。

 半年ちょっとの間にシリーズ4冊が矢継ぎ早に刊行された、キャラクターもののミステリ。作品の中身は思い出の品を探してくれとか、過去のスキャンダルの真偽を確認して欲しいとかの、広義の「日常の謎」(ただし興味の方向は、本作の設定に準じて昭和の過去に向かう)プラス、昭和期の世代人にはなつかしいトリヴィアを語り合う内容。あったあった、そんな昭和の話題、事件、事物、とオッサンオバサン(あと一部の好事家の若者)が喜べばいいのでないの、という感じだが、初めっからそういう作品ですという作りを前面からしてるので、その潔さが快い。
 昭和のミステリや中間小説を読みまくるのが趣味で、室内を古本だらけにしている葉亜杜のキャラも愉快かつ微笑ましく、オレもこんな娘がいたらなあ……と思うばかりである(いかん、結構アブナい願望充足作品だ?)。
 さらに主人公・熱木の行動の向こうに、シリーズ全体を貫くもう一人の主人公(たち?)といった仕掛けもされているようで、ネタの仕込みも多い分、結構攻めの姿勢でおもしろい。リーダビリティの高さはこの上ないし、少しずつ読んでいきましょう。

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