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ミステリの祭典

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尼子姫十勇士

作家 諸田玲子
出版日2019年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 小原庄助
(2019/07/19 11:13登録)
1566(永禄9)年、出雲の大半を支配していた尼子氏は、毛利に責められ壊滅した。それから2年。尼子勝久を頭領とした、尼子再興軍が挙兵する。陰の頭領は、勝久の母親のスセリ。山中鹿介を筆頭とする尼子十勇士など、集まった面々も頼もしい。神の化身である八咫烏を身に宿す、スセリのカリスマ性も抜群であった。だが最初の勢いが収まると、再興軍はしだいに追いつめられる。そしてスセリは、神々の軍勢を求め、黄泉の国へ向かおうとする。
尼子十勇士とは、尼子氏の再興のために立ち上がった10人の勇士のことだ。作者はその十勇士に加え、個性的な人々を創造し、彼らの戦いの軌跡を活写。ここが重厚な歴史小説として楽しめる。
さらに本書には、もうひとつの大きな読みどころがある。女性陣を中心にした神話的ファンタジーだ。なにしろ実際に黄泉の国まで行ってしまうのだからビックリ仰天。歴史小説とファンタジーという、二つのジャンルを同時に味わいながら、戦国の有情無情に心を揺さぶられる、ぜいたくな作品なのだ。

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