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ミステリの祭典

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MASK 東京駅おもてうら交番 堀北恵平

作家 内藤了
出版日2019年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 HORNET
(2019/06/09 16:35登録)
 堀北恵平(けっぺい)は、女性らしからぬ名前の、女性警察官の卵。東京駅おもて交番で研修中の身として、毎日東京駅周辺を回りながら駅周辺の地理の勉強に努めている。
 そんな赴任間もないある日、東京駅のロッカーから少年の箱詰め遺体が発見された。体を折りたたまれ、木箱に詰められた少年の死体にはなぜか「鬼のお面」が。恵平は、刑事の平野とともに、事件の捜査に携わることに―

 フレッシュで誠実な主人公のキャラクターにより、陰惨な事件でありながら物語全体には何かあたたかみを感じる。東京駅のホームレスや靴磨きのおじさんなどの、人懐っこい恵平の、普段の人とのつながりが生かされてこそ進展する捜査に、キャラ付けとストーリーが上手く仕組まれていると感じる。
 事件の謎については、前半は雲をつかむような感じで、後半一気に真相が見えてくる。偶然や運が手助けして、細い糸が手繰られていく様はややドラマのような仕立てだが、結末にはそれなりに満足できた。

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