影よ、影よ、影の国 怪奇とファンタジーのスタージョン傑作選 |
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作家 | シオドア・スタージョン |
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出版日 | 1984年01月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2019/05/24 18:17登録) (ネタバレなし) 日本で4冊目のスタージョンの短編集。仁賀克雄の監修のもとに幻想・怪奇系を主体に独自の編集・セレクトで、7編の中短編を収録している。 以下、収録作の備忘メモ&寸評・感想。 『影よ、影よ、影の国』 義母グエンママと暮らす年少の少年ボビー。その奇妙な友人とは? オーソドックスな<子供と魔性もの>の幻想ホラー 『秘密嫌いの霊体』 青年エディが出会った美女マリアには、あるものが憑いていた。中小のアイデアを盛り込んだ幽霊トラブル譚。本書の中では上位のひとつ。 『金星の水晶』 ときは23世紀。かつての宇宙飛行士の老人が、60年前の金星での冒険を語る。最後の「そっちかい」のオチを含めてまあまあ面白い。 『嫉妬深い幽霊』 おれはある日、何者かにつけられているという若い娘に出会う。そして……。『秘密嫌いの霊体』に似た設定だが、適度に差別化されていて面白い。どっちもTV『ミステリーゾーン』の1時間枠路線とかに似合いそう。 『超能力の血』 常人と違う超能力を秘めたぼく。だがそのぼくよりもずっと脅威の超能力者がいた。それは……。話法がひねりすぎて読みにくい。本書中ではスタージョンの悪いところが一番出た作品だと私見するが、人によってはコレが最も彼らしいと言うかもしれない? 『地球を継ぐもの』 人類が滅びかかった未来の地球。人類は自分たちの種の属性あるいは存在意義を、ラッコに託すが……。オフビートな感覚の未来SF譚。最後のオチはアルジャーノン・ブラックウッドの某作品を思わせた(たぶんネタバレにはならないと思う)。 『死を語る骨』 機械工のドンジーはあるものを製作。その効果を友人の警官で試すが……。ドタバタ劇っぽい不条理SF。最後のオチが素直にオチらしいのが、いいのか悪いのか。 ……中にはまあまあ面白いのもあったが、総評としては、作者らしい(?)しつこい話術が面白さとしてこっちに伝わってこない感じ。特に『超能力の血』は夜中に読んでいて、睡魔と戦うのに必死であった。 あと読んだあと、内容が記憶からさっさと薄れてしまう話も少なくない。 日本語版ヒッチコックマガジンのバックナンバーで大昔に読んだ『それ』なんかも、印象深いことは印象深いが面白さがいまひとつわからないし(まあアレはそもそもそういう作品なのかも知れないが)。私はスタージョンと、自分自身でこれまで思っていた以上に、実は相性が悪かったのかもしれない(汗)。 ……あ、『盤面の敵』は大好きです~笑~。 |