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ミステリの祭典

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ドイツの小さな町

作家 ジョン・ル・カレ
出版日1974年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2021/01/03 00:13登録)
昨年末に亡くなったジョン・ル・カレの第5作。
ル・カレと言えば長大な作品が多いイメージがありますが、本作はこの作者初の大作です。そして常連スマイリーが登場しない初めての作品でもあります。今回スマイリー的な役割を果たすのは、英国外務省諜報員のアラン・ターナー。彼がドイツの英国大使館での機密書類紛失事件を捜査することになるわけですが、最後の方になると、なるほど、こういう役回りならスマイリーではだめで、悪く言えば青臭い理想主義の若手でなければならなかったことがわかります。
それにしても、長いわりにスパイ小説としては動きが少ない作品です。ほとんど関係者一人一人から、事件の容疑者に関する事柄を聞き出していくだけの前半は、もっと短縮できなかったかなと思わせられました。しかしエピローグを含めたラスト3章は、ル・カレらしい迫力があります。

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