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ミステリの祭典

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きんきら屋敷の花嫁

作家 添田小萩
出版日2014年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2019/05/19 04:10登録)
(ネタバレなし)
 「わたし」こと、銀行の窓口で働いていた27歳の派遣社員の知花(ちか)は見合い結婚で、金融会社を経営する飯森家の長男・時生と結ばれる。都会から離れた飯森家に嫁ぎ、夫の両親そして親族一党内の実権者らしい老女「大おばさん」と5人での同居生活を始める知花。だが飯森家には時生の妹・奈々子とその夫の圭史を初めとして多くの親戚の出入りが始終あり、その一方で親戚以外の人間は極力排他されていた。やがてほぼ平穏な数ヶ月の日々が過ぎ、知花が飯森家の生活になじんだ頃、彼女は義母の時枝から森の奥に行き、あるものを持ち帰るようにと指示を受ける……。

 第8回「幽」怪談文学賞・長編部門特別賞受賞作品。角川ホラー文庫のレーベルで刊行された200頁弱の紙幅の作品(裏表紙には「きんきらゴシック・ロマンス」とある。きんきらの意味はナイショだ)だが、ホラーというよりは現代のおとぎ話+長編仕様の「奇妙な味」と言った趣の内容。ヒロイン(主人公)が森から「こういうもの」を持ってくるとは思わなかった。
 面白かったが、一種の寓意性もあるようで、その意味では怖さよりも人間の(中略)を見つめるしみじみとした情感も授かったような気もする。まああとからじわじわと恐怖が生じてくるタイプの作品かもしれないが。
 なお本書の巻末の周辺に選考委員達の講評と一緒に、賞に応募時の仮題が掲載されているが、その仮題(タイトル)を見るとちょっと内容のネタバレになる可能性もある? ので、出来れば読み終わるまでその辺は見ない方がいいかもしれない。

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