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ミステリの祭典

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致命傷
私立探偵タナー

作家 スティーヴン・グリーンリーフ
出版日1982年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 クリスティ再読
(2019/04/27 14:33登録)
長く続いたシリーズの第一作だから、すでに書評があるかと思うと、ないんだ。何か不思議。1979年でネオ・ハードボイルドとしては後発組で、作者も処女作みたい。というかね、70年代前半デビュー組が「なぜ今更ハードボイルド?」という疑問みたいなものから出発しているのに対して、この人「ロスマクってもうスタンダードだよね」みたいで「なぜ今更」を感じないタイプの作家だ。
だから、というかいかにも、というか、ロスマク風な設定をあまり疑問なく展開して、処女作と思えない達者さである。お手本に疑問を感じてないんだろうな....ラルフ・ネーダーみたいな消費者運動のリーダーのプライベートを巡って、その妻の依頼で調査を始めた弁護士兼業私立探偵のタナーは、その養女で足の悪い少女の依頼で別に動いていた友人の私立探偵が殺された知らせを受ける。殺された私立探偵は養女の実親探しに雇われていたようだ。タナーは養女の実親探しから、スモールタウンで起きた20年前の出来事に根を持つ秘密に問題の根源があるらしいことを探り出す...
と、相方風の友人が殺されてその真相を、は「マルタの鷹」以来の定番だし、

その夜はオックステイルで泊まることにした。モテルの反対側にあるバーで、私はハリー・スプリングに最後のさよならを言った。ずいぶん長い時が過ぎたが、私が最初に考えていたほどではなかった。

とチャンドラー風の「さよなら」だし...でパズラー風の凝った真相と、この人本当に「本から本を作り出す」タイプの作家みたいだな。真相は二転三転して「よくできました」。それで満足なのかしら?

あとねえ、本作「ツインピークス」ばりのスモールタウン人脈話だったりする。スクールカーストを思わせる描写もあるしねえ。これってアメリカ人からみたら一種の「ベタ」なんじゃないのかなあ。

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