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ミステリの祭典

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横浜港殺人事件
日本船舶鑑定人・日高凶平/旧題『船に消えた女』

作家 谷恒生
出版日1981年04月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2019/03/25 13:17登録)
(ネタバレなしです) 谷恒生(たにこうせい)(1945-2003)は初期は冒険小説(特に海洋系)の名手として評価が高く、その後ハードボイルド、戦記小説、時代小説、伝奇小説などに分野を広げた作家ですが1981年発表の本書は彼には珍しい本格派推理小説です。発表当初は「船に消えた女」だったのをトラベル・ミステリー風なタイトルに改題しましたが、個人的には当初のタイトルの方が作品内容にふさわしいと思います。舞台が横浜、神戸、若松と港町を転々とするのでトラベル・ミステリー要素も確かにありますが。「どぶ泥の臭気」と海を描写している場面がありますが、それは海だけでなく人間描写や社会描写にも通じるところがあり、粗野で退廃的で重苦しい雰囲気が全編に漂っています。謎解きは予想以上に複雑で巧妙なミスリーディングによるどんでん返しもありますが、濃厚な通俗色(ベッドシーンもあります)は読者を選びそうです。

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