home

ミステリの祭典

login
朝刊暮死
雷門京一郎シリーズ

作家 結城恭介
出版日1997年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2019/03/21 20:00登録)
(ネタバレなしです) 1997年発表の雷門京一郎シリーズ第3作の本格派推理小説です。ノン・ノベル版の作者あとがきで「『犯人をつくる』探偵というコンセプト」についてコメントされていますが、過去の2作での京一郎は普通の名探偵の印象しかありませんでしたが本書においてはなるほど『犯人をつくる』工夫が感じられました(単純なでっちあげなどではありません)。挑発的で大胆な犯人にトリックへのこだわりという点は前作の「コール」(1995年)を連想させますがそこにプロット全体にまたがる仕掛けが加わり(それが『犯人をつくる』につながるのですが)、「殺人投影図」(1994年)でのユーモアまで復活して作者が自信満々なのも何となく理解はできます。ただやりたいことを色々とやった結果、力作にはなったもののひねり過ぎて(個人的に)感心できない謎解きも少々混ざってしまったように感じます。ストレートど真ん中の謎解きだった「コール」の方が好みです。とはいえ作者としてはやり尽くした感があったのでしょうか(それとも出版不況の時代にあって作品発表の機会を与えてもらえなかったのでしょうか)、本書以降はミステリー作品を発表していないようなのは惜しまれます。

1レコード表示中です 書評