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ミステリの祭典

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もうひとりの自分

作家 グレアム・グリーン
出版日1978年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 弾十六
(2019/03/17 12:19登録)
1929年出版。集英社文庫で読了。
追われている。小屋には銃を構えた若い女。そして死体。
何がなんだかわざとわかりにくくしてる冒頭。一生懸命工夫して小説を書いてる作者の姿が浮かびます。でもネタが割れた後は、快調に物語が進みます。でもラストは作者もしっくりきてないんじゃないかなあ。
全体的に上手に構成されたスリリングな小説らしい小説。カーリオンの造型が面白い。グレアム グリーンが書き始めたのが1926年(22歳)、既に三大要素(アホな主人公、裏切り、ロリコン)が詰め込まれてる処女作でした。
葬式にはビールと菓子(beer and cakes)がつきもの、嗅ぎタバコはベントレイ(Bentley’s)に限る、バター付き(buttered)とバターなしトースト(dry toast)の対比、弾丸があっても発射した銃がどれだかわからない時代(弾道学は1925年米国生まれ)などがトリヴィアとして目につきました。
私の参照した原文には作者の短い前説(リプリント用 1951年?)がついていて、以下抄訳「私が三番目に書いた小説… 最初の二冊をはじいてくれたハイネマンに感謝… このエディションのために書き直そうか、と思ったら唯一の取り柄である若さを失わせる結果に…なのでコンマ一つとして変えなかった…野心と希望の時代に免じて…」
翻訳では献辞が省略されていますが For Vivien となっています。

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