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ミステリの祭典

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ハムレット殺人事件

作家 芦原すなお
出版日2019年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2020/09/24 23:20登録)
この作家は『青春デンデケデケデケ』さえ読んだことがなかったのですが、気になって手に取ってみました。
『ハムレット』の最終リハーサルで主要俳優たちが全員、実質演出も担当した大女優の邸宅で、このシェイクスピアの戯曲と同じような状態で死んでいるのが発見されるという事件で、さらに各章見出しも『ハムレット』からの引用という、ハムレット尽くしの作品です。事件担当の遠藤警部への説明という形で、『ハムレット』をはっきり知らない人にも、粗筋がわかるように説明されています。実際のところ、芦原すなおのハムレット論とでも呼びたいような一面も持っているのです。
遠藤警部の性格設定やセリフなど、ユーモアミステリ的ですが、真相は元ネタと同じく悲劇的ではあります。その真相解明は推理ではなく戯曲形式による状況説明で、遠藤警部の言うように、「たしかにひとつの解釈ではある」点、やはり釈然とはしないのですが。

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