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ミステリの祭典

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いつか誰かが殺される

作家 赤川次郎
出版日1981年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2021/07/01 07:03登録)
角川映画版はかなーーーり大胆に仕立て直してあるんですね。 主演の渡辺典子さん(原作は誰が主役か見えにくいけど)、多分あの人の役なんだろうなあ。。とぼんやり予想してたら、ま、ま、まさかの!!!! そこまでやるのか。。 凄くいい意味でーー

さて本作、企画性の高い或る趣向(いいタイミングで明かされる)を知らずに読み始めたほうが愉しかろう。登場人物と因縁深い死刑囚の脱走騒ぎに始まり、尾行対象がトランクをすり替えたとか、貧しい探偵がボコられたとか、警官が浮気者だとか(?)忙しないカットバックで小出しにされる犯罪、悪意、違和感のユーモアこってりなタペストリーが織り成す切迫型リーダビリティの襲撃に休む暇なし。特に出だしの数十頁、事態の構成要素が複雑怪奇に重なり合って進む割に、不思議とスッキリ見せるのが上手いな。。と思ったがそれは実は逆で、意外とシンプルな物語構造を、トリッキーな順列や角度のチラ見せで暫時露出するから実際よりずっと複雑に見えてるのかも知れない?そんなある種の恩着せがましさもミステリのテクニックと思えば大歓迎! 読んでる間は最高で8点まで行きそうと胸が弾んだが、そこまで上等なもんでもなかった。とは言え実に手練れのベストセラー作家らしい素晴らしき快作でありまする。 思わず肩入れしてしまう悪党や変人もいれば、下水道に投げ込みたくなる悪党もいる。 あっと言う間に読めちゃうよ。 後味陰惨、って人も普通にいると思いますが。。(私も若干そう)  

しかしながらタイトルと内容に結構な齟齬を感じてたんですが、頭に「こんな事してると」って付けるといいんですかね。。「誰か」ってのはピンポイントで「あの人」の事だったりして。。 または、不特定多数の。。 もしかして、ちょっと社会派要素入ってる?(最後の方の台詞に滲み出てねえが。。)

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