(2019/02/21 21:52登録)
(ネタバレシリーズ) ミス・シートンシリーズは英国の男性作家ヘロン・カーヴィック(1913-1980)によって1975年までに全5作書かれましたが、彼の死後に米国で再販本がヒットしたのを機に1990年代になって英国の男性作家ハンプトン・チャールズ(1931-2014)がシリーズ続編を3作書き、さらに英国の女性作家ハミルトン・クレーン(1949年生まれ)によって書き継がれています。1968年発表の本書はカーヴィックによるシリーズ第1作です。コージー派ミステリーに分類されているようですが本書を読む限りでは本格派推理小説としての謎解き要素はほとんどなく、巻き込まれ型サスペンス風です。ミス・シートンが女性が男性に襲われている場面に遭遇し犯人は逃亡、被害者は死亡します。犯人の正体は程なく明らかになりますがそこには推理は全くありません(名前は登場人物リストに載りません)。これがきっかけで有名人となったミス・シートンの周囲で色々な出来事が起き、ミス・シートンの描く絵が事件解決の糸口になるようですが、肝心のミス・シートンが絵の意味をまるで理解していないのがまどろっこしいです。締めくくりがまだ何か嫌なことが起きそうな雰囲気になっているのが珍しいです。
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