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ミステリの祭典

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女学生探偵と偏屈作家-古書屋敷殺人事件前夜-
女学生探偵シリーズ

作家 てにをは
出版日2013年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/02/12 22:29登録)
50万再生を突破した和ロックテイストの人気ボカロ曲「古書屋敷殺人事件」より、オリジナル小説が誕生!
作者のボカロP・てにをは自身による書き下ろし3編を収録!
女学生探偵シリーズ「古書屋敷殺人事件」の作品世界を舞台した前日譚!!
女学生探偵・花本ひばりと、ドS推理作家・久堂蓮真の痛快事件録!!!

ボカロとはボーカロイドの略で、ヤマハが開発した音声合成技術及びその応用製品の総称のことです。で、本作はあの初音ミクが歌う『古書屋敷殺人事件』の前日譚として、作者であるてにをは自身が書き下ろした作品です。中編2作と短編1作で構成されたもの。

中編はどちらも謎めいた事件(不可能犯罪的な)を扱っていますが、真相はあっけないもので、ミステリとしては弱いと言わざるを得ません。しかし、プロットはよく練られており、十分楽しめると思います。間に挟まった短編はある有名な海外の作品のネタバレをしていますのでご注意下さい。

ラノベ以上にライトな文体で読んでいてとても心地よさを感じます。舞台は昭和の中頃、安保闘争や学生運動が盛んだった頃の東京ですが、それ程時代を感じさせるような描写はありません。主人公の女学生探偵ひばりと推理作家の久堂との関係性がくっきりと浮き上がって、もどかしさなどは気になりません。とりわけひばりの一つ一つの言動が可愛すぎて、目が離せません。勿論探偵役は彼女ですが、すべてを見通した久堂の存在も見逃せないですね。古書店の店主枯島が京極堂なら久堂はさしずめ榎木津といったところでしょうか。その辺りの人物像が果たして京極作品をリスペクトしてのことなのかは定かではありませんけど。

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